日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

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2023年5月14日感情的にならない話し方とは?

 

★電車内で目にした出来事


少し前のお話です。職場がある御茶ノ水から帰宅するため、総武線各駅停車に乗りました。次の駅で、5歳くらいの女の子を連れ、1歳くらいの男の子を抱っこしたお母さんが乗ってきました。女の子は少しはしゃいでいて、お母さんに「ねぇねぇ!これ、なぁに~? ねぇ、これなぁに~!」と大きな声で盛んに話しかけています。一方、お母さんに抱っこされている男の子もごきげんで大きな声で「キャア~、エィ!」などと奇声を上げながら、こちらもお母さんにちょっかいを出しています。(こんなことされたらイライラするだろうな)と思ってみていたのですが、お母さんは慣れているのか、怒りもせず、ニコニコしながら子供達の相手をしています。
しかし、子供二人の大きな叫び声がしばらく続くうちに、私も含めて周りの人は「うるさいな~」という表情で時々その親子連れを見るのですが、誰も何も言いません。この状況は4つほど駅を過ぎても変わりませんでした。私も次第にイライラしてきました。

その時、3人連れのそばに立っていた穏やかな表情のおばさんが、「あら~、お嬢ちゃん、元気ね~~、おいくつ?」とはしゃいでいる女の子に話しかけたのです。すると、話しかけられた女の子は急にはしゃぐのを止め、はにかんだ様子でお母さんに体を寄せました。代わってお母さんが「5歳だよね~」と女の子に話しかけるようにおばさんに答えました。それから、お母さんとおばさんの世間話が始まりましたが、普通の音量での会話なので周りの人の迷惑になっていません。世間話の間、女の子はおとなしくお母さんを見ています。男の子もはしゃぐのを止め、やがて寝てしまいました。
おばさんが優しく話しかけることで、騒々しかった車内が静かになったのです。


★話す目的を考える


私はこの光景を見て、やはり話すということにはすごい効果があるんだなぁ、と改めて思いました。と同時に、このおばさんの話の仕方にとても感心したのです。
うるさい人が車内にいれば、通常は自分の怒りの感情とともにその人に注意する、ということがすぐ頭に浮かぶと思います。でも、このおばさんはそうしないで優しく話しかけたのです。これはなかなかできることではありません。

私たちは常日頃、自分の感情にまかせて話をしてしまいがちです。多分、このお母さんと子供達に話しかけるとしたら「ちょっと静かにさせてよ! 周りの人の迷惑になってるよ!」など、感情をあらわにした話し方をする人が多いことでしょう。しかし、ここで少し考えてみる必要があります。それは『話にはすべて目的がある』ということです。上の例の場合、子供達を静かにさせることが話す目的ならば、感情にまかせて母親をなじるような話し方をしてもその目的が達せられる可能性は低いでしょう。このおばさんのように優しく話しかければちょっと子供をドキッとさせ、静かにさせることができるのです。感情にまかせて言葉を発するのではなく、この話の目的は何か、話した結果どういう状態にしたいのか、などを話す前に考えることがとても大事なのです。

 

★ネガティブなことを言う前に一呼吸置く


私はこの電車内での出来事に接して以来、感情にまかせて話すことをできるだけ避けるように心がけています。しかし、自分の感情をコントロールするのはそう簡単なことではありません。時にはつい怒りの感情を口調に表してしまうことがあります。なので、少なくとも相手に対してネガティブなことを言う場合は、(本当にこの言い方でこのことを言っていいのだろうか?)と、一呼吸置いて自問自答するようにしています。その結果、その言葉を言うことを思いとどまったり、少し時間をおいて違う言い方で話すことができるようになってきました。これも簡単なことではありませんが、意識し続けることでより感情のコントロールができるようになる感触があります。
皆さんもよろしけばぜひお試しください。


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